――自分たちで稼いだお金で、自分たちの旅を創る ――
10,000円。
それが、今月から始まった屋台経営プロジェクトの、始まりです。
11月の本番に向けて、企画・試作品づくり・決算まで、すべてを子どもたち自身が担う。出た利益は、そのままみんなの旅の資金になる。そんな仕組みの中で、子どもたちはまず「融資」を受けるところからスタートします。
借用書にサインをする瞬間、子どもたちの顔にはいつもと違う緊張感がありました。「返さなきゃいけないんだよね……?」と本気で心配する子もいましたが、もちろん返済の義務はありません(笑)。
それでも、本格的な仕組みに触れたことで、目には見えない真剣さが、確かにチームの中に生まれていました。
初回は、屋台経営ミニレクチャー。「利益」「価格」「ニーズ」「損益分岐点」――普段の生活ではあまり出会わない言葉たちが、次々と子どもたちの前に並びます。
初めて参加する子にとっては、かなり難易度の高い時間だったと思います。




動き出せない時間
チームの中心になって話を進めていく子がいました。昨年度も参加していたたm、頭の中にはすでに進め方のイメージがあり、自然と話し合いを引っ張っていきます。
その隣では、屋台が初めての子が、輪に入れずにいました。何を話しているのか分からない。入りたいけれど、入り方が分からない。自分から提案したり質問したりするのは、まだ少しだけ難しい様子。
けれど、意外だったのは、その子の内側でした。買い出しに向かう道すがら、「初めての屋台どう?」と尋ねると、返ってきたのは「すごいワクワクする」という言葉。
中々話し合いに入れずにいたはずなのに、心の中では、ちゃんとワクワクしていたのです。こちらが見ている姿と、本人の内側にあるものは、思っている以上に違うのかもしれないんですね。

変わっていく空気
時間が進むにつれて、チームの空気は少しずつ変わっていきました。
輪に入れずにいた子は、「みんなで話し合おう」という流れができ、何をしているのかがイメージできるようになると、自分から意見を出せるようになっていきます。「生クリームを入れたい」「コスプレをしたい」「チラシをつくりたい」――出てくる意見は、まだ自分のやりたいことが中心です。それでも、意見が出てくるようになったこと自体が、大きな一歩でした。
後半になると、その変化はさらに進みます。チラシづくりをめぐって、話し合いを引っ張っていた子と意見がぶつかる場面がありました。「ちょっと1回、私の話を聞いて」。譲らずに主張するその姿は、序盤の「輪に入りにくい姿」からは想像できないものでした。それでも、上手く伝わらずにヤキモキする場面も多々ありましたが、それも大きな学びですね。

小さな提案を続けた子
同じチームには、もう一人、印象的な姿を見せた子がいました。
最初は、中心的に進む二人の話し合いに、中々入っていけません。もどかしそうな表情を浮かべながらも、要所要所で「紙持ってこようか?」「それ書こうか?」と、自分にできそうなことを小さく提案し続けていました。
前半は、その提案がチームの流れとうまくかみ合わず、「大丈夫」と断られてしまう場面も何度かありました。それでも、くじける様子は見られませんでした。何度も何度も小さな提案を続けていく。そこには、確かな粘り強さがありました。
午後になって、その粘りが実を結びます。チームの中での役割を見つけたのか、「この屋台経営企画シート書こうか?」と自分から提案し、一人でシートに向き合い始めました。表を自分で追加したり、区切ったりしながら、情報を整理してまとめていく。
「こういうの得意なんだ?」と聞くと、「うん。絵を描くのは苦手だけど、こういうのは得意」。少し誇らしげなその表情が、とても印象的でした。

今後に向けて
得意なこと、うまくいかないこと、仲間とのぶつかり合い。そのすべてが、この屋台経営プロジェクトには詰まっています。まだ始まったばかりのこの挑戦が、11月の本番に向けてどんな形になっていくのか。子どもたちの試行錯誤を、これからも見守っていきたいと思います。
次回は、いよいよ試作品づくりに挑戦です。自分たちで考えたメニュー候補を実際に作ってみます。さあ、どんな失敗が生まれるのか、今から楽しみですね!
EDUCAMP 
