こんにちは、曽雌です。
今年度最後のワンダークラスの活動が終了しました。ワンダークラスの最後の活動は、滋賀県の琵琶湖のほとりで一泊二日のキャンプ活動でした。
今回の活動テーマは、「つくる」です。
一日目は、様々な材料の中から、グループで料理のメニューを決め、創作料理をつくります。
12月に三河湖で実施したキャンプでは、実際のお金を取り扱いながら、どのグループが最も利益を出せるかという「屋台経営ゲーム」に挑戦しましたが、今回は「競争」ではなく「共創」がテーマです。
各グループが料理を出し合って、みんなで料理を食べていきます。勿論、自分のグループの料理も食べられますし、他のグループの料理も食べられます。
その分、使う材料や料理が被らないようにグループを超えた話し合いが必要になっていきます。このあたりも「共創」がテーマにしてあるポイントです。
二日目は、ドミノチャレンジです。各グループに2,000個のドミノを配り、グループごとに作りたいテーマを決めていきます。その上で、一日かけてドミノづくりに挑戦!
何度「あ~~!!!」という声が部屋中から飛び交ったか!笑
協力しながらつくることにトコトン向き合う時間です。
さて、それでは活動の流れをみていきましょうか。
一日目、バスで滋賀県の施設まで向かいます。
施設に到着したらみんなで手分けして荷物運び。そのあとお弁当です。
琵琶湖の目の前という最高のロケーション。かなり気持ちがよい光景ですね。
心配していた雨も1日目はまったく降らず、途中何度か晴れ間が見えることも!かなりついていましたね!
お昼ご飯を食べ終わったら、バスの時間が長めだったこともあり、少し長めの自由時間。
こういう隙間時間ってすごく大切ですよね。
プログラムを実施していれば、子どもたちは活動の中に入っていきます。でも、全部が全部プログラムの時間にしてしまうと、どれだけ考えさせる時間をとったとしても、プログラムをこなしているだけになってしまいがちです。だからこそ意図的に、空いた時間をとることも大事だなと思っています。むしろこういう隙間時間でどんな過ごし方をしているか、どういう表情をしているかが子どもたちをしっかりと観ていくためのポイントだと思っています。
何をしてもいい時間。裏を返せば、何もしなくてもいい時間。ですね。
水切りをしたり、鬼ごっこをしたり、ギターを弾いたり、みんな思い思いに過ごしています。
さて、話がそれました。
いよいよ創作料理作りのスタートです!
子どもたちが綺麗に材料を並べてくれました。
「今日はこの材料を使って、みんなでお祭りをしよう!12月のキャンプでは、利益を出すために料理を作っていったけど、今回のキャンプでは作った料理をもちよって、みんなで食べられる料理を作っていくよ!」
「材料はここに出ている分のみ。どれをどのぐらい使ってもOK!どんな料理を作りたいのかグループで話しあってみてね!」
「りょうた先生!もしもグループで使いたい食材がかぶったらどうするの?早い者勝ち?」
「お!ありがとう。いい質問だね!使いたい食材がかぶったら、グループ同士で相談してみて。今回は、競争じゃなくて、みんなで料理を作りあって食べるから、どのグループも同じ料理を作っちゃうより、いろんな料理を食べられた方が楽しそうじゃない?だから、食材を選ぶ前に、他のグループがどんな料理を作るのか、どんな食材を使いたのかを聞いてみるのも大切かもしれないね!どう?イメージできた?」
「なるほど!OK!」
こんな感じで進んでいきます。指導者にとって大切なのって、この枠組みづくりじゃないかなといつも思っています。
子どもたちに自分たちで考えてもらうときに、枠組みが広すぎても何から始めていいのか分からなくなってしまう。かといって枠組みが狭すぎても、自分たちで考えられることが少なすぎてやらされている感覚になってしまう。
・自由に考えて決めること
・こちらで決めておくこと
・相談しながら決めていくこと
この3点を予めイメージしておくことで、子どもたちが自分たちで考えられる領域が広がっていくのではと思っています。
使える時間と子ども同士の関係性と活動場所の制限によって、このあたりの枠組みをバランスよく作っていくことが大切かもしれませんね。
だから活動が始まる前の、最初の説明のタイミングって凄く大切だなと思っています。子どもたちが何を自由に考えられるのか、何は決まっているのかをイメージできるかどうか。その上で、こうやって子どもたちと会話をしながら、お互いに考えている枠組みをすり合わせていきます。
このすり合わせがないままだと、子どもたちもどこまで自由に考えていいのかがわからなくなってしまいます。
イメージとしては、自由にやっていいことを伝えていくよりも、ここからは守ってねという最低限の枠組みを一緒に作っていくイメージです。その間にある境界線は、子どもたちと一緒に話しながら「納得感」のあるポイントを一緒につくっていきます。
すいません。またまた話がそれましたね。
さあ、調理スタートです!
調理に関しては本当になれたものですね。正直驚きです。もはやワンダークラスは野外でのお料理教室なのでは?と思うぐらい自分たちで考えながら料理を作り上げていきます(笑)
今回のメニューは
・カレーライス、お好み焼き、焼き鳥
・味噌汁、コンソメスープ、くるくる巻き
・お肉のキャベツ巻き、パンケーキ、じゃがバター
いい感じにメニューが分かれましたね。この辺りも「おお~」と思いながら見ていました。
全員が食べられるように量を決めなければならないので、料理も大掛かりになります。
「ご飯何合たこうか?」
「5合ぐらい?でもみんなにたべてもらおうと思うと5合じゃ足りないか」
「全部で何人いるの?」
「え?じゃあ15合ぐらいたく?」
そんなこんなで、ご飯は大きなお鍋で15合炊いていました。このあたりのスケール感もいつもと違って面白いですね!
「いただきます!!」
食べ終わったら、片付けタイム。
そして片づけタイムの後は、レクレーション大会です!
各グループで15分程度のレクリエーションを一つ考えてもらい、みんなで出し合いながらレクリエーションをしていきました。
レクリエーションの説明も子どもたちが行いながら進行をしていきます。説明がうまく伝わらずに、ほかの子からも色々と補足説明を出し合いながら進めていく感じも見ていて面白かったですね~
その後、お風呂に入って、グループごとに1日目の振り返りを行いながら、ドミノのイメージ図を作成していきました。その後は各部屋でフリータイムです。
二日目!天気は雨!それでも朝から傘をさして散歩に行った子も。元気ですね~
部屋の片づけをして、朝食です。二日目はドミノチャレンジに集中することもあり、朝食・昼食ともに食堂でご飯です。ワンダークラスにとっては逆に新鮮かもしれませんね(笑)
そして、、、
いよいよドミノチャレンジスタートです!
2000個のドミノを使って、それぞれが考えたイラストを表現していきます。時間は午前と午後を合わせて約5時間。どんな作品ができるのか、はたまたできないのか、楽しみですね~
まずは色分けから始める子どもたち。
どんな風に置いたらいいか、どうすれば倒れるのか、試しながらおいていきます。
とは言え、置いたそばから「あ~!!!」という声が(笑)
頑張って作っていったものが、一瞬で倒れていく光景。そうならないように、リスクを最小に減らす工夫をとっていきます。その当たりも色んな工夫がでてきて見ていて面白いです。
途中、お昼ご飯で一時休憩です。
「お昼ご飯食べたらすぐに作業を始めてもいい?」
いや、少し気分転換をしてからでもいいんじゃない?と思うものの、みんなすぐさまドミノに戻っていきます。
気持ちの入り具合を感じますね。
途中途中、休憩をしつつ、それでも最後の完成を目指していきます!
そして、いよいよ残り時間が少なくなってきました。
「残り10分~」
みんなにそう声を変えかけると、、、
「りょうた先生!そういうの言わないので!!焦りが生まれてくるでしょ!!今、集中しているんだから!!」
怒られました(笑)
そして残り3分ほどとなったその時です。
「ああああああああ!」
1グループから声にならない叫びが、、、
作ったものの9割が倒れていきました。
茫然自失の表情をした子どもたち。
そのあと、自然と笑い声が、、、
「最後できることやろう~」
「いっそ倒した状態のアートにしようよ!」
「いいね!そうしよう!
「いいね!それっぽい!笑」
なんだか、その光景がすごく暖かく見えてきます。創り上げたものが一瞬で消えてしまっても、そこまでつくってきたプロセスは無くならない。そんな光景を子どもたちは見せてくれたように思います。
その後、残り間際になって少しだけ倒れてしまった他のグループに対しても
「大丈夫!大丈夫!こっちのグループよりもマシだよ~!」
そんな風に勇気づけの言葉をかけていました。
社会の中では、結果も勿論大切です。
でも、そこまでに込めた努力や行動、頑張ろうとしてきた気持ちは決して無くならない。たとえ結果には繋がらなくても、頑張った分だけ自分の成長につながっていく。
教育の世界は、そうあってほしいなと心から思っています。そして子どもたち自身にもそう考えられるようになってほしいなと思います。
結果が出なかったから、そこまでの時間は全部が全部、無駄だったのか。そんなこと無いですよね。それを伝えていくのが僕ら大人の役割なんじゃないかと思うんです。
今、世の中は少しずつその先を見ようとしています。
この3年ほど、コロナ禍を過ごした子どもたちは、思い通りにならないことや、実施できなかったこと、体験できなかったことがたくさんあったと思います。
この3年間を過ごした子どもたちは、様々なイベントをいつも通りに実施することができなかった苦しい時間だったかもしれません。
それでも、子どもたちにとっては、考え抜いて頑張ってきた3年間です。ある意味で、誰よりも乗り越えてきた3年間だと思うのです。
だからこそこの3年間を、可哀想な3年間にしてはいけないと思っています。失われた3年間にしてはいけないと思っています。
そうしてしまったら、そこで考えてきた子どもたちの気持ちや、頑張ってきた子どもたちの行動は無かったものにされてしまうように感じるんです。
そんなことを、最後の光景は感じさせてくれました。
コロナ禍だったこそ、子どもたちにとって貴重な貴重な1年間を一緒に過ごせたことに、何よりの感謝を申し上げます。
ありがとうございました!
曽雌